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28の一途をたどっており、100万人を超えたとされているが、がんと違い全数調査がなされていないため、正確な数はわからない。米国では、約500万人の患者が心不全に罹患しており、毎年約50万人が新たに心不全と診断されている。心不全患者の予後は重症度により異なるが、フラミンガム研究では、5年生存率は40~60%と極めて低い予後不良の病態である。3.心不全の分類 心不全は、発症形態、発症部位、病態などで分類される。順次それぞれの視点で心不全を見てみよう。1)急性心不全と慢性心不全 心不全の発症形式で、急性心不全と慢性心不全に分類される。急性心不全は、血圧上昇、感冒、水分過多摂取などを契機に、呼吸困難、浮腫などの心不全症状が急速に出現する状態である。一方、慢性心不全は、労作時呼吸困難や浮腫などの心不全症状が、急速に増悪することなく慢性的に存在する状態である。 急性心不全と慢性心不全では、その治療方針が大きく異なる。急性心不全は、心血行動態が大きく破綻していることが多く、直近に迫る生命の危機が大きいため、その治療方針は、心血行動態の立て直しが主体となる。急性心不全は、初発急性心不全と慢性心不全急性増悪とに分けられる。 これに対して、慢性心不全では、心血行動態は維持されていることが多く、長期の生命予後・再入院回避や症状の軽減に重きが置かれる。しかしながら、慢性心不全状態が悪くなる背景には慢性心不全急性増悪を繰り返すことが関与することから、急性心不全の治療においても単に心血行動態の改善だけではなく、心臓の臓器保護を考えて治療しなくてはいけない、というのが最近の考えである。具体的には、第Ⅳ章で述べる。2)左心不全と右心不全 心不全は引き起こす原因となる心臓の部位により、左心不全と右心不全に分類される。一般的に心不全と言われる場合は、左心不全を指すことが多いが、通常は両方がミックスされた状態で医療現場に現れる。左心不全は、全身に血液を駆出する左心室の機能低下もしくは左心室に血液を吸引する機能低下により引き起こされる心不全状態を言う。一方、右心不全は、全身から還流され心臓に戻ってきた血液を肺へ送り出す右心室の機能低下により引き起こされる心不全を指す。Leaning POINT▶p.148▶p.290臨床POINT臨床POINT臨床POINT

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