402340000
4/16

 周産期医療に携わる医療従事者にとって、思いがけない早産、予期せぬ出生時の病的所見・症状、生後の急変による病的新生児発生時の初期対応、および診断と治療は大切な使命の一つです。新生児に異変があった場合、現症状をはじめ母体情報、分娩および出生後の経過、診察所見などから、あらゆる知識と経験を総動員して初期対応に当たりますが、時には初期診断を誤り、思いもよらぬ経過をたどることがあります。 このような苦い経験や悔しい思いは間接的に見聞きした以上に記憶に残り、脳裏に焼きつくものです。そして、同じピットフォールに陥らないように気を付けることができるようになります。経験した症例から教えられたこと、学んだことをそれぞれが教訓として今後に活かすことは可能ですが、これらの体験をより多くの人と共有し、実感を持って伝えたい、その思いを元に、体感型ピットフォール症例検討会は始まりました。 特に、先天性心疾患をはじめとする循環管理上の適応障害は、換気状態とも重なり合い、病態の把握、初期対応、鑑別診断、治療の反応や経過に応じてその都度再検討を要するなど、非常に高度な領域です。小児循環器科的な専門知識や対応を要することもありますが、まず小児科医または新生児科医が初期対応を行う機会が多いため、循環管理に関する体感型ピットフォール症例検討会を本研究会で提案し、平成19年(2007年)の第5回日本周産期循環管理研究会で始めました。発表スライドでは、演者が主訴・情報・鑑別診断までを提示し、会場の皆さんに問いかけます。臨場感をもって鑑別診断を検討し、その後に、経過および確定診断を解説し、全員で教訓を共有するという構成をとりました。より効果的なプレゼンテーション法(アンサーパッドの使用など)を工夫しながら、毎年本研究会(本年で13回目)で継続していはじめに

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る