10 健診にはいろいろな母親がやって来ます。初めての赤ちゃん、初めての健診で、祖父母や夫を伴っての“一大イベント”になっているケースもあれば、2人目や3人目の赤ちゃんで、他のお母さんとのおしゃべりに余念がないほどリラックスした母親もいます(新型コロナウイルス感染症の影響で今はなくなりましたが)。そうです。母親の子育てにおける不安は本当に人それぞれです。 親子の様子を観察しているとよくわかりますが、いつもにこにこしている母親の児は自然とにこにこ。母親が不安いっぱいでしかめ面だと、児もぴりぴり……。母親をにこにこ顔にするのも、しかめ面にするのも、小児科医の一言にかかっています。 「健診のとき、怒られてへこみました」とか「健診に行くと嫌な思いをするので気がすすみません」という母親の訴えは珍しいものではありません。健診に行って子育て不安を悪化させて帰ったのでは、何のために健診をしているのかわかりませんね。 女性が一生のうちに子育てを経験するのは1~2回ということが多くなっています。妊娠中に思い描いていた子育てを実現し、満足できる子育てをしてもらいたい……。その経験を通して、もう一度子育てをしたいという女性も出てくるでしょう。この過程には、小児科医が関わることがたくさんあります。健診もその一つです。健診が少子化対策につながるかもしれませんね。 健診を行う小児科医が、「急に医局長から行ってこいと言われたから気乗りがしない」「健診は嫌だな」と思っていたり、いらいらしていたりすると、母親の不安解消なんてできません。健診に限らず、小さい赤ちゃんを抱っこして受診した母親に自分でドアを開かせないでください。「さぁ、これからかわいい赤ちゃんと“きれいな(?)”お母さんとの蜜月タイムだ~」というくらいの勢いで臨んでください。私たちは“医療のプロ”です。プロとしての心構えは、患者さんの前ではいつも、心が乱れないように“整える”ことです。たとえ昨日、彼(彼女)とけんか別れしたとしても、それは病院に来ている患者さんには関係のないこと。心を整えましょう。 母親が部屋に入って来たら、まず明るくよく通る声で、「こんにちは! 今日の健診担当の○○です。お子さんは△△ちゃん、□カ月ですね」と自己紹介して始めましょう。名前は相手から言ってもらうのが基本ですが、い「たかが健診」だなんて思っていませんか?1ちょっとした心がけで健診は楽しくなる2乳児健診を始める前に楽しい乳児健診を演出するのはあなたです1
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