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8a上腹部の解剖学門脈系 傍大動脈リンパ節領域は,以前は総腸骨動脈分岐部から腎静脈下縁までとされていたが,2014年のFIGO分類より,総腸骨動脈分岐部から横隔膜下までとなった.しかし,staging laparotomyとしてのリンパ節郭清では,横隔膜下まで行うことは困難であり,現在も傍大動脈リンパ節郭清は腎静脈下縁までのリンパ節を郭清することとなっている. 本書の傍大動脈リンパ節郭清の手順からすると,右卵巣静脈直上の後腹膜をTreitz靱帯の方向へ切り上げ,小腸を一塊として根部からアイソレーションバッグに挿入する.その模式図(図1)を示す.後腹膜を切り上げる際に目印となるのが,下腸間膜静脈である.下腸間膜静脈は壁側腹膜背面を上行して横行結腸付着部の背面を走行し,膵臓の下縁に入り込む.そこから脾静脈に流入し,門脈へとつながっていく.ただ,この合流部はバリエーションが多く,上腸間膜静脈,脾静脈,下腸間膜静脈が合流し門脈となる.これらの合流部はアイソレーションバッグの下の後腹膜内にあるので,傍大動脈リンパ節郭清の際には見ることはない.下腸間膜静脈脾静脈上腸間膜静脈門脈系アイソレーションバッグ内の腸管を上腹部へ圧排したところである.下腸間膜静脈は脾静脈に流入し,門脈に連なっていく.図1

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