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9腎動静脈 腎動脈は第1,第2腰椎の間の高さで大動脈から出ていることが多い.左腎動脈は右腎動脈より頭側から起始することが多く,左腎動脈は左腎静脈の上縁の高さの背側に位置することが多い.また,右腎動脈は右腎静脈の背面を走行していることがほとんどである2). 左腎静脈に流入する静脈は左副腎静脈,左卵巣静脈であるが,最も中枢側で大動脈側面から流入するのが腰静脈である(図2).一般に,腰静脈は左右に5対あり,腹大動脈の後方を走り,上行腰静脈とつながっており,さらにこれらは腰静脈叢となって複雑な静脈叢を形成する(図3).上行腰静脈は外側仙骨静脈から頭側へ上行していき,肋下静脈を横切ったところで,右上行腰静脈は奇静脈に,左上行腰静脈は半奇静脈となって胸腔に続く.左腎静脈に流入する腰静脈は第2腰静脈で,腎静脈後面に流入することが多く,手術中,直視しにくい.そのため,腰静脈は傍大動脈リンパ節郭清を行う上で,最も注意しなければならない静脈である.腰静脈は左腎静脈に入るとは限らず,腎静脈周辺の高さで,直接,下大静脈に入る場合もある. 第12胸椎から第5腰椎の椎体横突起から大腰筋が起始し,大腰筋の末梢は大腿骨小転子に付着している.ちなみに,大腰筋と腸骨筋とを合わせて腸腰筋と呼ぶ.この大腰筋の付着部から腰静脈が出ているため,腰静脈が切れてしまうと大腰筋の中に埋もれ込んでしまい,出血点がわからなくなる.左卵巣静脈下腸間膜動脈左卵巣動脈上行腰静脈第2腰静脈左腎静脈左腎静脈に流入する腰静脈.これは,大腰筋の間から出ていて,奥では上行腰静脈と連なっている.図2上腹部の臨床解剖………a上腹部の解剖学第章1

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