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10第2腰静脈上行腰静脈腰静脈叢椎体の外側には,腰静脈叢が形成されている.しかし,大腰筋起始部が椎体に付着しており,手術は大腰筋起始部より腹側で行われるため,手術の際にはこの静脈叢はほとんど見えない.腰静脈 傍大動脈リンパ節郭清の際に左腎静脈に流入する腰静脈の存在に気づき,解剖学書で調べた.最も詳細に書かれていたのが,『ネッター解剖学アトラス.原書第6版』3)であり,そこには大腰筋の付着部から出ている第2腰静脈と上行腰静脈がきれいに描かれていた. 左腎静脈に流入する腰静脈は傍大動脈リンパ節郭清の際には触らないようにしている.しかし,その付近に転移のある場合は結紮・切離して腫大リンパ節を摘出することとなる.誤って,腰静脈を割いてしまうと,大腰筋の中に腰静脈が引っ込んでしまう.その際には,断裂した静脈周辺部の大腰筋に針糸を掛け,収束結紮を行って止血することとなる.腫大リンパ節が大きい場合には,腎を脱転させる方が安全である. 大動脈裏面の腸腰筋起始部から腎静脈下面を走行する腰静脈を含む腰静脈叢には特に注意する.筆者は,この部位の腰静脈を損傷し,約3,000mLの出血を起こした現場に立ち会ったことがあり,肝を冷やしたことがある.図3

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