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11 このたび,2014年に出版した『子宮体癌・卵巣癌におけるStaging Laparotomy』の改訂版を出す機会をいただいた.まず,たくさんの読者にお求めいただいたことに感謝を申し上げたい. 本書の特徴は,Staging Laparotomyのビデオ映像と共に手術の流れを細かに解説していることである.実践の手術手技にこだわり,私の主観を前面に押し出したものであり,他にもっと良い方法があるかもしれない.しかし,これらの実際の手術手技とビデオ映像は,必ず読者にとって手術手技の習得に役立つものと思われる. この改訂版では,新たに二つの章を加えた.まず,「第1章 上腹部の臨床解剖」である.われわれ婦人科医は,骨盤部の解剖には精通しているが,上腹部の解剖学に関しては,若干,不慣れな感は否めない.そこで,さまざまな解剖学書,手術書を参考に,傍大動脈リンパ節郭清の際に必要な上腹部の臨床解剖学を掲載した.ぜひ,ご参照いただきたい. 二つ目は,「第9章 トラブルシューティング」である.手術は,「流れ」が最も大切である.しかし,一旦トラブルに陥ると,悪い流れになることが多い.この悪い流れをいかに断ち切るかが重要である.ゴルフでいうところのリカバリーショット,それをどう打って流れを取り戻すかが大切である.今回は,実際のトラブル映像と共に,その修復手技についても掲載した.手術の参考になればありがたい. さらに,ワンポイントレッスンとして,基本手技の中でわかりにくいと思われるところについて,実際に手術指導を行っている場面を収録した.ぜひ,本編と併せて参考にしていただきたい. 近年,Staging Laparotomyも腹腔鏡で行われるようになってきた.しかし,腹腔鏡手術やロボット手術で予期せぬ出血を来した場合,直ちに開腹して止血をしなければならない.そのような時のためにも,本書は役立つものと思われる.ぜひ,手術動画と共にご一読いただき,ご批判,ご意見を頂戴できれば幸いである. 本書は,筆者がたくさんの手術を執刀して書いたものではなく,たくさんの手術を後輩に指導し,その内容を書いたものである.手術を修練中の医師にとって,どこがわかりにくいか,どのように間違いやすいか,そして,どうやってそのハードルをクリアするかを書いたつもりである.本書が,これから手術を習得する若い先生方のお役に立てれば幸いである. 2018年5月田畑 務

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