T520350
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………7イントロダクション 最近になって,経腹超音波で高い周波数を使用し,今までより良好な画像の得られる超音波機器が登場してきました.まずはそれについて説明します. 妊娠12週の品胎で,そのなかのひとりの胎児を見てみましょう. 5MHzの超音波でみた場合は特に異常がないように見えます(図イ-1).しかし9MHzの超音波でみると,実はこの胎児には両側の水腎症が認められます(図イ-2). あるいは16週の胎児をみると,5MHzでは困難ですが,8MHzでは評価できるほどきれいに四腔断面が描出されます(図イ-3). 5MHzで見た妊娠18週の胎児頭部は通常の見慣れた画像(図イ-4)ですが,9MHzでは頭蓋内の構造がきわめて明瞭に描出(図イ-5)されており,頭蓋内の構造評価に有用と考えられます. 胎児腹部についても同様で,5MHzでは今までと同様の画像(図イ-6)ですが,9MHzにすると,正常の胎児であっても消化管の蠕動がはっきりと描写されますし,さらには腸管の1本1本が区別できるほど明瞭に描出されるようになってきました(図イ-7). また,胎盤の像も5MHz(図イ-8)に比べて9MHzでは脱落膜がきれいに描出されて,あたかも術中に直接,子宮にプローブを当てて見ているかのような明瞭さです(図イ-9).図イ-4 胎児頭部・経腹超音波[5MHz]図イ-6 胎児腹部・経腹超音波[5MHz]図イ-5 胎児頭部・経腹超音波[9MHz]図イ-7 胎児腹部・経腹超音波[9MHz]
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