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10 まず、生物科学的な理解として、DNA(デオキシリボ核酸)は塩基(アデニン〔A〕、グアニン〔G〕、チミン〔T〕、シトシン〔C〕とか習いましたね?)を持ったヒモ状のものです。これがヒストンというタンパク質にぐるぐると巻き付いて、さらに高次構造をとってコンパクトにまとめられたものが染色体です。 ゲノムとは、細胞もしくは生物の個体の中に含まれているDNAの持つ遺伝情報1セットを指します。よってヒト染色体の24種類(常染色体1番~22番とX、Y染色体)と、ミトコンドリア内にあるミトコンドリアDNAを加えたもの、それがヒトゲノムということになります。ヒトゲノムは、約3.1Gb(ギガ塩基対)で構成されています。 ゲノムの中には、タンパク質の一次構造に対応するmRNAの情報を含んだDNA領域があり、これらはゲノムの約1.2%程度でしかありません。このタンパク質の設計図となる領域であるコードDNA領域に対して、タンパク質を作り出さない非コードDNA領域が広く存在しています。非コードDNAには、細胞の中でさまざまな調節を行うRNAの設計図となる領域もあります。 遺伝子は、これらのタンパク質やRNAの設計図となるDNA領域です。「遺伝する情報の1単位が遺伝子」と捉えるのが分かりやすいかもしれません。ヒトゲノムの参照配列であるGRCh38.p10によると、2017年7月の段階で、タンパク質をコードする遺伝子の数は20,338あります。1つの遺伝子はスプライシングの過程によって、複数のタンパク質を作ることができます。それ以外にも、タンパク質を作らない遺伝子が22,521種類あり、ほかにも重複で生じたが本来の機能を失った偽遺伝子といった領域も存在しています。 ゲノムの中で、タンパク質の設計図になる遺伝子をコーディング遺伝子と言います。ゲノム、染色体、遺伝子、DNA、それぞれの関係は?Q2ゲノムは図書館、染色体が本、遺伝子が本に書かれている項目、DNAが文字、というイメージです。A

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