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Part1周産期救急の新しい流れ外傷初期診療×周産期救急15ともいえる. ABCDEFアプローチが完了し,一次蘇生がなされればPC3-SSに進む.この時点で患者はすぐさま心停止を来すような状態からは離脱できているはずである.専門診療を開始するにあたっては病歴の聴取をもれなく迅速・簡潔に行う必要があり,それはAMPLEの頭文字で示される(表3).患者から聴取できない場合は,救急隊,家族,関係者から可能な限り聴取すべきである.この後,全身の解剖学的損傷をチェックし治療を行う. PC3-PSおよびPC3-SSの詳細についてはPart 2で解説する(→p.24〜). 救急医療の現場では,重症患者の治療の際にチーム医療を重視した診療が行われる.チーム医療においてはコマンダー(指揮官)を決め,その指揮の下で整然とした診療を行うことで混乱なく安全な医療が迅速に提供できる.周産期救急は一人の優秀な産科医のみでは完結できない.重篤になればなるほど,医師,看護師,助産師,検査技師,放射線技師,臨床工学技士など多職種の協働なしには救命できない.こうした事実は,周産期救急においてチーム医療の考え方が欠かすことのできない重要な一要素であることを示している. チーム医療を展開するためには,能力のあるスタッフが集まりさえすればよいというものではない.混乱する周産期救急の現場で何を優先し何を行うのかという判断を誰が行い,そしてそれをいかに迅速かつ的確に実施できるかということが重要である.個々のチーム員が個別に活動するのではなく,チームとして活動しなければ,どんな優秀なスタッフの集団であっても「烏合の衆」と化してしまう.こうした事態が起こらないようチームをマネージメントする能力が周産期救急チームには求められる.チームを統制し混乱なく目的を達成するためには,コマンド&コントロールの考え方の下でチーム展開することが推奨されている. コマンド&コントロールとは,チームにおける指揮命令系統の構築を意味し,コマンダーを頂点としたチームワークの体制である.災害医療においてはこのコマンド&コントロールの構築が最優先とされており,混乱状態が予想される状況下でのチーム医療を円滑に動かすための体制であるともいえる.コマンドとは命令(指示)であり,コントロールとは統制を意味する.医師,看護師,助産師などの多職種が働く現場では,それぞれの職種ごとにリーダーが必要となる.各職種のリーダーを通じてその所属員への指示を伝えるのがコマンドであり,職種間の調整を行うのがコントロールである(図2).まずprimarysurvey(PS)において生理学的徴候をABCDEFアプローチでもれなくチェックし,並行して蘇生(治療)を行う.生理学的徴候に問題のないレベルと判断されるか,蘇生が成功すればその後に専門診療,すなわちsecondarysurvey(SS)を開始する.コマンド&コントロールによるチームアプローチ
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