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9的状況にあって適切に人と物を集め,患者の生理学的徴候を評価し安定化させながら,次の解決策を探ろうと努力するというスタンスを身につけていただきたいと考えている.特に妊産婦が突然に急変した場合,その緊急度を理解し,状況に対する適切な環境マネージメントと処置の実践とができることが重要である.そのためには,チーム医療を実戦する「人間力」「コミュニケーション能力」を含めた「ノンテクニカルスキル」と,お互いのメンタルモデルを共有する「共通言語」とが必要である.本書はまさしくその共通言語を提供するために作成された. 論文を読みあさり,セミナーを受講しまくって分娩も蘇生も全身管理もできるスーパードクターやスーパーナースになる,というのは不可能かつナンセンスの極みだといえる.しかし残念ながら旧来の思想で開発・構成された指南書やコース・セミナーには,その誤謬に陥っているものも多いのが実情である. PC3ではシナリオを繰り返しながら「評価する(サーベイ)→必要な処置(蘇生)→処置後の再評価」の3ステップを推奨している.いまある各ガイドラインは蘇生にあたる者の能力を非常に低く見積もった内容となっており,蘇生を受けるべき傷病者と蘇生を行うべき状況とを見逃さないことを目的としている.しかし,蘇生処置の多くは侵襲的で,たとえば気管挿管が不要な患者に頑張って施行して結果的に食道挿管となり,さらにその間,胸骨圧迫が止まっていたとしたらどうなるか? 処置そのものの習得も大切だが,医療従事者に求められるのは,患者を救命するための大きなロードマップともいうべき蘇生の戦略概念である.不要な処置は除外し,脳蘇生へと導くためのステップの必要性を評価し,処置として実施し,その処置を再評価するサイクルの理解こそが重要である.そして,それはシンプルな概念と知識であるべきである. 手にとったすべての人に「明日すぐにでも役に立ちそうなものをもらいました」と思っていただけたら幸いである.「防ぎ得る周産期の死亡」をなくすために. 2017年7月PC3コースディレクター 荻田和秀・渡部広明 

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