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Part1周産期救急の新しい流れ外傷初期診療×周産期救急13 1 ABCDEFアプローチ 2 コマンド&コントロール方式によるチームアプローチ 3 標準化された輸血戦略 4 周産期救急におけるdamage control surgery 外傷初期診療では患者の生命を守るために生理学的徴候の異常を迅速に評価し直ちに蘇生(治療)を開始するステップを規定しており,これをprimary survey(PS)という1).この診療手順にABCDEアプローチ法が採用されている.外傷患者を受け入れる際に素早く抜けなく患者の生理学的徴候を把握し,並行して蘇生を行うことを目的に救急の現場で用いられている概念である. 外傷初期診療ガイドライン(JATECTM)1)では,まずこのABCDEアプローチに沿って患者のどこに問題があるのかを評価し,その治療(蘇生)を行うことが推奨されている.すなわちPSで生理学的徴候をチェック(ABCDEアプローチ)した後,secondary survey(SS)で全身損傷の系統的なチェックを行い,次に根本的治療へと進むという手順である(図1).こうした手順を踏むことにより患者の生命が担保され,目の前で突然命が失われるという事態が回避される.また,適正な初期診療が実施されていれば救命できたはずの死亡症例(防ぎ得た外傷死:preventable trauma death;PTD)を減らすことにもつながる考え方である. PC3では,この基本概念は周産期救急の初期診療も同様であるという考え方に立脚し,ABCDEアプローチに則った初期診療の標準化とそのアルゴリズム構築を試みた.周産期救急に外傷初期診療の対象者と周産期救急の対象者は類似した患者層だといえ,外傷初期診療のアプローチが援用できる.ABCDEFアプローチ図1 外傷診療と周産期救急における初期診療の流れ救急医の役割生理学的異常の修復初期対応医の役割生理学的異常の改善各診療科の役割解剖学的異常の修復産科医の役割産科的専門診療外 傷周産期救急

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