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|直腸鉤|リンパ節郭清の際は2種類の直腸鉤(サンリツ直腸鉤®)を用いている.幅のやや太いものと細いもの(40mm,30mm)である.使用する場所により,こまめに使い分けている.岡林型直腸鉤は幅40mm,全長370mmと長いため,使用していない.手術用スパーテル(反転鉤)は首の部分で彎曲しているので術野の邪魔になりにくく,癌研究会附属病院(現在のがん研究会有明病院)の荷見勝彦先生が愛用されていた.手術用スパーテル(反転鉤)直腸鉤(幅30mm)岡林型直腸鉤図1-3直腸鉤上から手術用スパーテル(反転鉤),幅30mmの細い直腸鉤,岡林型直腸鉤である.岡林型直腸鉤は他の鉤に比べ,全長が長いのがよく分かる.直腸鉤の持ち方は,小指の付け根を支点として親指で柄の部分を押し付け,てこの原理で先端に力が加わるようにする.|パワーデバイス|最近では,電気メスを使用せず広汎子宮全摘出術を行う術者はいないと思う.しかし,1961年に出版された小林隆先生の『子宮頸癌手術』には電気メスは登場しない.その時代は,リンパ節郭清を含め,全てクーパーなどで行ったものと思われる.ただ,小林隆先生はヘモクリップの原型となる「小林式止血鋲」を開発され,深い部位での静脈の止血に用いられていたようである.近年,さまざまなパワーデバイスが開発され,高周波凝固切開装置はリンパ節郭清などの外科手術になくてはならないものとなっている.また,手術機器・器具の進歩によりハーモニック®などの超音波凝固切開装置も開発され,開腹術に使用した際には超音波加算3,000点が申請できるようになった.また,このような手術器具を適切に使用することにより,手術時間の短縮や出血量の減少が図れるようになった.しかし,いくら良い器具が登場しても,手術の際は切るべきラインを見極めて,切離またはシーリングを行うことに変わりはない.また,パワーデバイスは挟鉗した周辺組織を高温にするため,神経損傷の可能性もあり注意が必要である.11術前処置 b 手術器具第 章1

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