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4はじめに生殖外科は生殖機能を維持・回復するための外科的治療で、他の外科領域に比べると歴史は新しいと言えよう。卵管性不妊に対するマイクロサージャリーから子宮鏡をはじめとする内視鏡の導入、その後の発展は生殖補助医療の普及とあいまって、この数十年で飛躍的に進歩を遂げた。それを支えてきた日本生殖外科学会(旧 産婦人科マイクロサージャリー学会)と日本産科婦人科内視鏡学会が2007年に統合され生殖外科の発展を支え、現在会員数3,800名の産婦人科領域有数の学会へと成長してきた。ここでは、生殖外科の誕生の歴史と日本産科婦人科内視鏡学会のあゆみを振り返る。生殖外科の誕生文献を紐解くと、欧米で生殖外科の端緒やその後の展開を知ることができる(表2-1)1)。遡ること約150年前、Pantaleoniは1869年に子宮腔内を検査し、子宮鏡(hysteroscopy)開発の始祖となった。その後、Kellingは1901年に犬の腹腔を内視鏡で観察し、腹腔鏡の土台を作った。その後、臨床への応用が進み、1943年には子宮鏡の最初の教科書がNormentにより出版された。1958年にはFrangenheimが骨盤鏡(culdoscopy)、子宮2生殖外科の歴史表2-1内視鏡の歴史Pantaleoni, G(英)1869年子宮腔内を検査、子宮鏡(hysteroscopy)の開発Kelling, G(独)1901年犬の腹腔を内視鏡で観察、検査への応用を示唆Norment, WB(米)1943年子宮鏡の教科書Palmer, ED(米)1950年消化管出血に内視鏡検査と止血Frangenheim, H(独)1958年骨盤鏡(culdoscopy)、子宮鏡の教科書Gomel, V(加)1977年Laparoscopy as the method of choiceSemm, K(独)1981年内視鏡下に虫垂切除Reich, H(米)1989年腹腔鏡下子宮全摘術

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