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 近年、女性が自立し職を持ち、社会で活躍するようになった。さらに2016年4月に女性活躍推進法が施行されたように、現在の日本では女性への制度的なバックアップもあり、今後さらなる女性の社会進出が期待されている。しかし、女性の社会進出は平均出産年齢を上昇させる原因となり、不妊治療現場に大きな影響を与えていることは否めない。さらに、女性特有の疾患である子宮筋腫や子宮内膜症は出産年齢が遅れることによって罹患率が上がるため、社会進出、晩婚化に伴い挙児希望が遅れることで自らの生殖機能が低下しているだけでなく、既に何かしらの女性生殖器疾患を患っていることが多い。 一方で、手術を行うことによってさらに生殖機能ロスを引き起こし不可逆性不妊へと至ることも懸念されるために、不妊症に伴う手術である「生殖外科」は現在の不妊診療にとって、その適応や手技が非常に重要となる。さらに近年の内視鏡治療の技術革新は目覚しいものがあり、日々進化している。現在の不妊治療の進歩と内視鏡治療の技術革新が的確に融合される治療が今後の不妊診療の成績を向上させる可能性は十分に考えられ、その分野を担う生殖外科医の育成は急務である。 これまで不妊治療や内視鏡治療に関する単独の成書は多く出版されてきた。さらに日本産科婦人科学会の会員数が約17,000人とされており、日本生殖医学会の会員数は約5,000人、日本産科婦人科内視鏡学会の会員数は約4,000人と、既に産婦人科医の1/3〜1/4近くが両学会に所属していることになる。生殖医学分野と内視鏡分野の両方を兼ね備える医師が多くいることも予測されるが、その両方を兼ね備える「生殖外科」に関する成書はこれまで見ることはなかった。 今回、生殖医学や内視鏡の分野で仕事をしている私たちが本書を企画した。本書は、これまで見ることのなかった生殖外科における初めての成書となり、生殖外科医として活躍している医師、これから生殖外科医を目指す医師のバイブルとなると自負している。 2018年4月 初夏の台湾にて森田峰人・太田邦明刊行にあたって

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