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3第1章 病歴聴取&身体診察のコツとヒケツ病歴聴取のコツ1構えをしておきます。そうすると初診の患者さんでもうまくやりきれます。 逆にとても上手な子どももいて、私のクリニックには、「口をあけて」というと、しっかり咽頭後壁まで見せられる1歳児がいます(3人きょうだいの末娘というのもあるのでしょう。子どもは見て学ぶのです)。表1-1 子どもの発達段階と診療の場での工夫年齢(生活の場)発達段階(注:一般論であり、個別に判断する)診療の場での工夫の例生後すぐ〜1歳頃(自宅、保育園)言語による症状の表現は不可。医師の指示/命令の理解はできない。泣いていても怖いのか、痛いのか、しんどいのかすぐには判断不能。病歴聴取の目標は、仲良くなり、身体診察をスムーズに、正確にできる環境を作ることとする。2歳〜6歳頃(保育園、幼稚園)2歳前後から2語文を話せる。自分の体の部分(目、耳など)が分かる。指示に従える。「痛い」と自分で表現できるのは2歳以上。3歳を超えると痛みの場所を言えるが、不正確なこともある。名前や年齢、通っている幼稚園の名前を訊く。舌圧子を使わず「口をあけて」など、言語的に励まして診察する。7歳以上(学校)日常的な言語表出・理解はほぼ成人同様と考えてよいが、慣れない場での語彙や表現力は不十分。痛みの種類や、原因について話すことができる。学校での行事などをアイスブレイクに使う。子どもに問いかけ、積極的に話をさせる。医学用語を子どもに分かる言葉に置き換える。病歴聴取のコツ! 子どもの年齢は「何歳ですか?」と尋ねる方が安全です。子どもは年齢を下に見られるのが嫌いです(大人とは逆です)。実際は6歳なのに「5歳?」ときいたり、中学生に「小学校はどこ?(筆者はよくやってしまう)」ときくのはNG! 間違えるときは大きめに間違えましょう。同時に、付き添いがお母さんかおばあちゃんか分からないときには、「お母さんですか?」とききます。お母さんをおばあちゃんと呼んでしまうと、その後の信頼関係の回復は絶望的です……。

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