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5第1章 病歴聴取&身体診察のコツとヒケツ病歴聴取のコツ1●open-ended questionのみ 自己紹介+「今日はどうされましたか?」。基本的にはこのスタイルで入っていきます。忙しくてもオープンに訊くことをまずお勧めします。もちろんnon-verbalもオープンにしましょう。診察開始時に使えるほかの「手当て」フレーズとしては以下のものもあります。  「(入ろうかどうか迷っている)お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんもご一緒にどうぞ」 余裕を示せますし、診断につながる家族のいろんな視点を知ることができます。  「お待たせしてすみません。お疲れでしょう」 当たり前ですが、いい忘れることありませんか?  「(子どもに対して)今日は注射しないよ」 子どもは「悪いことすると注射してもらうよ」と言われているものです。この一言で安心します。注射や採血を行う可能性が少しでもあるときには言わないこと。結果論であっても嘘はいけません!  「さっき、待合室で、ケンケンという咳をしていたのは○○ちゃんですか?」 アイスブレイクに使えますし、一発診断が可能です(上級者向け)。●closed-ended question+doorknob questionセット 子どもの診療では、主訴は「発熱」「咳」「嘔吐・下痢」「腹痛」「皮疹」がほとんどで、かなり限られています。私の経験ですが、夜間の待ち時間の長い救急外来において、患者さんとしては「さっき、予診で聞いてもらったし、問診票にも書いたし、子どもは泣いているし……」という状況下で「どうしたのですか?」と聞いてしまい、「だ・か・ら・熱!」となったことがありました。また、救急外来では時間や体力的な制約もあり、毎回open-endedというわけに表1-2 泣く子への「なくこ」での対応「な」「涙が流れているということは、脱水はひどくないってことだね!」「く」「口を大きくあけてくれているので、口の中が見やすいし、のどをみる棒(舌圧子)も使わなくてすむね!」「こ」「呼吸の音がよく聞こえるよ! 大きく息を吸ってもらう必要がないからね!」その他「これだけ元気に泣けていたら、重症な病気の可能性は減るね! 本当に重症な子どもは強くは泣けないものだから」(詳しくは1章③「子どものnot doing well」参照)「僕を見て泣いたということは、僕が知らない人だと分かっている。これは意識の状態がまずまず良いという意味なのですよ」声かけ以外にも身体診察のときに大きく泣いている子どもでは、診察の最初にのどを見てしまうこともあります。そして上手に見られたら、ほめましょう。「泣いてくれたおかげで、しっかりみることができました。ありがとう」

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