14主席卵胞のみが成熟を遂げて排卵に至る、いわゆる“単一卵胞発育機構”が存在する。まず、第一に卵胞を刺激するためのFSH(follicle stimulating hormone:卵胞刺激ホルモン)の上昇を来すシステムとして、月経前の黄体の退行によって生ずるE(estrogen:エストロゲン)の低下が必要となる。特に、Eの低下はフィードバック機構を通じてFSHの分泌を促進し、結果として卵胞の成熟に伴う顆粒膜細胞からのEの分泌を促進する。その結果、フィードバック機構が再度作用して、下垂体から分泌されるFSHの分泌を抑制する(図3)。 卵巣内には、性周期をさらに微細に調節する仕組みがあり、卵胞を構成する顆粒膜細胞から分泌されるインヒビンやアクチビンはその代表といえる。インヒビンは、下垂体に対するネガティブフィードバックによりFSHの分泌を抑制する働きを持つ。また、インヒビンはサブユニットの組み合わせからインヒビンAとインヒビンBが存在するが、インヒビンAは主席卵胞および黄体から産生され、特に排卵後に分泌が増加し、排卵に至らずに残存しているFSH依存性の高い次席以下の卵胞を閉鎖に導く。一方、インヒビンBは胞状卵胞から分泌されるハウスキーピング的なホルモンであり、その分泌は卵胞の主席化に伴って低下する。つまり、インヒビンBは発育途中の卵胞数を下垂体に伝達し、FSH分泌を抑制(調整)することによって、卵胞の過剰発育抑制に寄与しているものと考えられる。また、インヒビンは胞状卵胞数に依存することから、卵巣予備能評価の指標の一つとしても知られている3)。一方で、アクチビンはインヒビンと反対の作用を持ち、下垂体に作用してFSH分泌促進を促し、卵巣の顆粒膜細胞に作用してFSH受容第一減数分裂前期の状態で停止LHサージ第一減数分裂の再開(46, XX)一次卵母細胞の状態原始卵胞一次卵胞二次卵胞胞状卵胞成熟卵胞第一減数分裂の完了いわゆるMⅡ卵(metaphase Ⅱ=第二減数分裂中期)受精排卵二次卵母細胞第一極体(23, X)(23, X)第二減数分裂の開始第二減数分裂の完了第二極体(23, X)卵の成熟と減数分裂の過程図2(文献1より作成)
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