402350620
11/14

コロナウイルスの流行は全世界に大きな影響を与えているが、産婦人科医療も例外ではない。新型肺炎 日本がカルロス・ゴーン氏の国外逃亡で沸いていた2019年12月30日、中国保健機関は湖北省武漢での「原因不明の肺炎」の発生を報じた。翌2020年1月7日には原因が新種のコロナウイルス(2019-nCoV)と特定され、遺伝子も同定された。WHOは2月11日、本ウイルスによって引き起こされる疾患名をCOVID-19、国際ウイルス命名委員会はウイルス名をsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)と決定した。 この感染症は瞬く間に世界に広がり、3月11日、WHOはパンデミックを宣言した。日本でも感染者が増加し、政府は4月8日に7都道府県に、16日には全都道府県に緊急事態宣言を発令した(5月25日には解除)。臨床的には感染者の85%は軽症あるいは無症状だが、15%が重症化し、1〜5%は死に至る(図1-1)。重症者では間質性肺炎に加えて、サイトカインストームによる全身臓器の障害や血管内皮でのウイルス増殖による微小血栓形成が病態に関与する。致死率はイタリアでは14%、イギリスで13%、アメリカ合衆国とわが国はともに5%程度であるが、感染者数が米国では485万人を超えているのに対し、わが国では41,000人である(2020年8月5日現在)。米国では黒人やヒスパニック系に死亡者が多く、白人や東洋系には少ない。これには経済格差と同時に、民族ごとに感受性が違うのではないかとする仮説が提唱されているが、その背景は不明である1)。不顕性感染80%軽症15%重症5%死亡1週間1週間1週間回復サイトカインストームARDS、DIC肺炎全身性変化軽い上気道炎無症状ウイルス感染回復回復図1-1 新型コロナウイルス感染症の転帰191新型コロナウイルス感染症とは第1章 新型コロナウイルス感染症概論

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る