SARS-CoV-2とは SARS-CoV-2は分類学上、コロナウイルス科Family Coronaviridaeのオルソコロナウイルス亜科（Orthocoronavirinae）に属する。脊椎動物には約150種のコロナウイルスが知られ、宿主動物の特異性は比較的高い。オルソコロナウイルス亜科に分類されるウイルス粒子は、直径100〜120nmの球形でエンベロープを有する。その表面には20nm程度の棘のようなスパイクタンパクがあり、電子顕微鏡写真ではその形状が王冠（コロナ）に似ているために命名された（図1-2）2）。 ゲノムは直鎖状の一本鎖RNA（プラス鎖）である。ゲノムサイズは27〜32kbとRNAウイルスの中でも大きいため、複数の遺伝子を乗せる余裕がある。5′末端にキャップ構造、3′末端にポリA配列、5′末端に約70bのリーダー配列、5′および3′末端にポリAを含む500b以下の非翻訳領域がある。コロナウイルス亜科のウイルスが共通して持っている構造タンパクは、ヌクレオカプシド（N）タンパク、スパイク（S）タンパク、インテグラルメンブレン（M）タンパク、そしてエンベロープ（E）タンパクである。Sタンパクは感受性細胞膜上の受容体への結合および細胞侵入に関与し、MタンパクとEタンパクはウイルス粒子の集合および出芽に関与する。細胞表面に発現する受容体とSタンパクが結合し、ウイルス膜と細胞質膜が融合して侵入、あるいはエンドソームに輸送され、酸性環境下で細胞内プロテアーゼによりSタンパクが構造変換し、エンドソーム膜と融合Spike娘ウイルスACE2TMPRSS2小胞体核図1-2 SARS-COV-2の感染20
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