402350620
3/14

る指針』は、まさに新型コロナ感染症第二波の真っ只中に、皆様の手に届きます。このガイドブックを開いて、院内の感染防御の施策の中に、また妊産婦を感染症から守るための対策に関して、見落としはないかを再度チェックしてください。今、我々ができることを細部にわたり記述してあります。もちろん国の支援を求めてはいますが、早い対応は期待できません。PCR検査が安全にできるようになりましたが、安心を求める無症状の妊婦の検査では、万一、陽性である場合には、感染症法による法的規制により症状がなくても保健所に届けて、保健所から指定の周産期施設を紹介され、隔離入院が義務づけられます。このような医療供給体制の整備が、各都道府県で不可欠です。その上で、妊婦に対してPCR検査の意義と課題を説明した上で、同意を得て、検査を受けてもらってください。 このようなタイムリーな企画は、京都産婦人科医会、日本産婦人科医会医療安全委員会委員の橋井康二先生によりもたらされました。「これを医会医療安全委員会として作成したい」との有り難いお申し出により、医会医療安全委員会担当常務理事である関沢明彦 昭和大学産婦人科教授と橋井先生が編集を担当してくれました。執筆者は、どなたも学術的に正確で、臨床の現場に大変役に立つ記述をしてくれました。この企画と編集にご尽力いただいた橋井康二、関沢明彦両先生には、改めて厚く御礼申し上げます。 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の服薬による有効な治療薬はまだ発表されず、妊婦に安全な治療薬の出現に関する情報はありません。またワクチン開発が進んでいますが、国民への安全な接種には、まだ時間がかかります。このような状況では、罹らないようにする以外に対応策はないのです。そんな時期に、感染症第二波に遭遇している産婦人科医は、本書の記述通り、妊産婦の安全を第一に考え、さらに医療人の感染防御を徹底することを怠らないようにお願いいたします。 そのために、本書は最も適切な感染症ガイドブックですから、各部署に1冊は置いておき、いつでも紐解いて、参考にして、院内感染防御に役立ててください。 2020年8月日本産婦人科医会 会長 木下勝之3

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る