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改訂2版「超」入門脳血管内治療5年3月末に小倉記念病院で確立させた治療プロトコールによる再開通治療の成績(私以外の術者11名)は,TICI 2B再開通率87%,平均治療時間(穿刺から再開通まで)22分という,米国のSWIFT Prime試験とも遜色ない素晴らしいものとなった.「治療の標準化」が優れた結果に直結することを示したことは,この『改訂2版 「超」入門 脳血管内治療』を執筆する大きな原動力となった. さて,本書の主な改訂点は,急性期再開通治療とフローダイバータ治療という新しい治療の追加である.再開通治療については現時点でわれわれのチームが標準的プロトコールとしている方法を解説した.このプロトコールが「我流」ではないかという心配もあり,1例は神戸市立医療センター中央市民病院の方法を紹介した.幸い,われわれの方法とほぼ同じであったことに安心した.フローダイバータについてはまだまだエキスパートの治療であり,本書で取り扱うかを逡巡したが,この治療自体は大型動脈瘤の標準的治療に必ずなるという確信のもとに取り上げることとした.また,初版はOnyx導入後まもなくであったが,この6年間でさまざまな応用テクニックも普及したため,新章を追加した.さらに,まもなくオンラベル治療となる硬膜動静脈瘻に対するOnyx治療も追加した.その他,LVISやMOMAなど,新しいデバイスについてはもれなく追加したつもりである. そして,この改訂2版のもう一つの目玉は,師・坂井信幸先生と私の症例ビデオの実況中継および解説である.神戸で坂井先生に直接ご指導いただいてからすでに10年が経過し,私自身が神戸の標準的治療として習得した治療は,京都,そして神戸においても変遷しているに違いない.果たして,この変化が「深化」なのか「ガラパゴス化」なのか? それを念頭に置いて,明日2月22日深夜に師匠と2人で,新しく編集したビデオをネタにじっくりと治療談義ができることを心から楽しみにしている. 最後に,デバイスに関する膨大なデータを調査いただいた私の「デバイス博士」である小西医療器 市田定栄様,さらに治療に協力いただいた京都大学および小倉記念病院スタッフに心より感謝申し上げたい.本書が脳血管内治療の普及と発展,すなわち治療医の増加と技術の向上に寄与することを心から願ってやまない. 2018年2月21日京都大学大学院医学研究科脳神経外科講師 石井 暁

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