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31章◉総  論るまではセッティングに時間を要するが,一度習得すればセッティングにさほどの時間はかからない.挿管から頭部固定までの間にも電極を装着するなどしていれば,例えば運動誘発電位モニタリングで余計にかかる時間は1分程度である. また,モニタリングなしでも手術は行えるという話も聞く.加えてモニタリングを始めるには,機器を揃えるための初期費用が必要となる.しかし,手術に際して患者さんが求めていることは,単に病巣を治療するだけの手術ではなく,術後に神経機能後遺障害をきたさない手術である.術中に機能温存を確認すべき時代である.医師のみならず,臨床検査技師・臨床工学技士(ME)・看護師など手術にかかわるすべてのスタッフには,術中モニタリングを最大限に利用して絶対に後遺症を残さない手術をするという強い意志を持っていただきたい.4最後に 術中モニタリングが有用であることに異を唱える方はいないと思われるが,実際にモニタリングを行ってみると,波形が得られない,アーチファクトが強く波形がきれいでないなど,多くの困難に遭遇する.モニタリングとはトラブルシューティングの連続であり,電気生理の基本と,各種モニタリング法の方法論を熟知しなければ対応は困難である.本書がそうした問題解決の一助になれば幸いである.(佐々木達也・鈴木恭一・板倉 毅)

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