脳動脈瘤,脳主幹動脈狭窄症・閉塞症,頚動脈狭窄症,硬膜動静脈瘻,脳動静脈奇形,もやもや病,静脈洞血栓症などの脳血管病変に加えて,脳・頭頚部腫瘍,頭頚部血管奇形など,多くの脳神経・頭頚部疾患が適応となる.や特殊な検査であるが,非常に重要な手技であり,脳血管とは違った手法・工夫があるため,3章-2にまとめて記載する.B適 応▪DSA,サブトラクション法 近代的なカテーテル法による脳脊髄血管撮影は,1953年のSeldinger法の開発からスタートしたと言える.しかし,当時はDSAはなく,フィルム撮影も連続法がなく,造影剤を注入しての1枚撮りであった.その後,フィルム板を重ねておいて,造影剤注入に合わせて技師がフィルム板を手動で次々と引き抜いて数枚の連続撮影を得る「用手的引き抜き法」になり,そして機械でより高速にフィルムを入れ替える「film cassette exchanger」の登場により,動脈相から静脈相まで10数枚の一連の画像が得られるようになった.さらに,血管造影写真と単純写真を差分化することで,骨情報を消して血管情報だけが得られるサブトラクション法が開発され,より血管構築がわかりやすくなった.現在では,これがdigital subtraction angiography(DSA)へと進化している.▪マイルストーン 脳脊髄血管撮影にまつわる,これまでの重要なマイルストーンを記す.1895年 レントゲン博士によるX線の発見1896年 初の血管撮影(屍体の手に造影剤を注入したもの)1927年 Egas Monizによる初の脳血管撮影1953年 Seldinger法の開発(カテーテル造影)1980年代 DSAの登場2000年代 3D-DSA画像〜CT like imagingの開発▪脊髄血管撮影 開発当初の脳血管撮影法は,頚部を開創して総頚動脈を露出し穿刺していた(いわゆるカットダウン法).その後に,皮膚上から直接穿刺する方法により,頚動脈のみならず椎骨動脈直接穿刺による椎骨動脈撮影も開発された.その当時は当然ながら1穿刺1血管撮影であった.1950年代のSeldinger法の開発によりカテーテル法が発達し,直接穿刺法では不可能であった脊髄血管撮影が可能となった.そして,1960年代以降,Doppman,Di Chiro,Djindjianらの脊髄血管に関するパイオニアワークにつながっていくのである.(杉生憲志)Column14
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