T540550
11/14

31章前大脳動脈瘤概論1前大脳動脈の解剖と分類Acomは通常視交叉の上に存在するが,例外的に視神経上や視交叉槽に存在することもある.A1, Acomには重要な穿通動脈が存在し,手術の際に損傷しないように気を付けなければならない.1A1穿通枝A1からの穿通枝は視交叉上方で前有孔質に入り,基底核や内包,視床,視床下部を含む領域に分布する.Rhotonらによると,これらの穿通枝は9割近くがA1の後方,上方より分枝する 12).2Recurrent artery of HeubnerMedial lenticulostriate arteryのなかでも重要な分枝で,主にA2起始部付近より分岐する(図2B).Recurrent arteryはA1と逆行して2〜3cm走行し,ICA分岐部付近で方向を上に変えてlateral lenticulostriate arteryの内側で前有孔質に入る.Recurrent arteryは主に,尾状核前方部,被殻前方1/3,内包前脚,稀に視床下部前半を栄養する.この穿通動脈の閉塞で顔面や上肢の麻痺,優位半球であれば失語症が生じる可能性があり,手術に際しては温存が不可欠な血管である.3Hypothalamic arteryAcomの背側や上方から通常1〜4本分岐し,視交叉上方や前有孔質を走行し,脳弓,脳梁,帯状束などを栄養する(図2C).この穿通動脈の閉塞で優位半球であれば記銘力障害が生じる可能性があり,手術に際しては注意する必要がある.PC-CM junctionの解剖学的特徴動静脈内に色素付きシリコン注入を行った22体の死体標本を用い,3〜40倍率の手術顕微鏡下でdistal ACA領域の微小外科解剖を検討した 7).PC-CM junctionは側面像において脳梁膝部より上方にあるか下方にあるかでsupracal-losal groupと infracallosal groupに分類した.Infracallosal groupにおけるPC-CM junctionの解剖学的形態評価目的で,パラメータとして計A1, Acomには重要な穿通動脈が存在し,手術の際に損傷しないように気を付けなければならない.図2A ICAより分岐した左右のACAは視神経外側を前内側に走行し,視交叉の上でAcomに合流する.この部のACAをA1 segmentと呼ぶ.Acomは通常視交叉の上に存在する.B Recurrent arteryはA1と逆行して2〜3cm走行し,ICA分岐部付近で方向を上に変えて前有孔質に入る.C Call. Marg. A.Acom : anterior communicating artery, Rec. A.: recurrent arteryFig. 2 Fig. 2 ABCA1AcomRec. A.Hypothalamic A.A1A1

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 11

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です