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51章前大脳動脈瘤概論1前大脳動脈の解剖と分類る.脳梁膝部の真中を境界として,supracallosal distal ACA動脈瘤はA3上半分に存在し,infracal-losal distal ACA動脈瘤はA3の下半分に存在する.大部分がPC-CM junctionに生じるが,通常,手術法として半球間裂アプローチが選択される.Supracallosal distal ACA動脈瘤は半球間裂アプローチにより非優位側の前頭葉を牽引しながらアプローチする.脳梁膝部はPC-CM 動脈瘤complexの下方に位置し,proximal controlは比較的容易である.Infracallosal PC-CM動脈瘤に対してpericallosal artery のproximal controlをより確実にするにはPC pointより下方からアプローチする必要がある.非優位側半球間裂アプローチを行うが,PC point下方のスペースが小さい場合はnasion下方まで開頭を広げる必要がある.Olfactory nerveを温存しながら頭蓋底に沿うような形で動脈瘤にアプローチする.必要があれば,Acomを最初に確認し,distal ACAを順行性にたどって動脈瘤に到達することも可能である.あまり上方から接近すると動脈瘤のドームに最初に遭遇する可能性があり危険である.動脈瘤アプローチに際して,callosomarginal artery末梢部が解剖学的指標として有用である.Distal ACA complexがproximalを含めて十分露出された後にneck clip-pingが安全に行われる.考 察通常のpterional approachで前方循環の動脈瘤を処理する場合と比べて,distal ACA動脈瘤の手術を行う際に問題となるポイントは,術者がやや特異な状況に置かれるということである.すなわち,①狭い術野,②両前頭葉間の複雑な癒着,③動脈瘤頚部がbroad-basedやscle-rotic neck,④親動脈の確保が困難,⑤ドームが前頭葉に埋没している,⑥azygos ACAが合併している可能性,⑦multiple aneurysms などが挙げられる 18, 19).Azygos ACAはA1末梢のACAが1本しかないanomalyであるが,剖検例では0.26〜2.6% 1, 20),脳血管撮影では0.2〜3.7%の頻度と文献上報告されている5, 8).しかしながら,distal ACA動脈瘤とazygos ACAの合併は通常よりも高頻度で7.1〜15.8%との報告がある 10, 11, 13).さらに多発脳動脈瘤の合併も18.2〜55.0%と高率である 9, 11, 14, 15, 17-19, 21).もうひとつの問題は術中破裂であり,破裂率は最高50%との報告もある 2, 4, 6, 9, 10, 13, 15, 17).破Infracallosal PC-CM動脈瘤に対してpericallosal artery のproximal controlをより確実にするにはPC pointより下方からアプローチする必要がある.表 Anatomic parameters of infracallosal pericallosal (A3) and callosomarginal arteries (n = 12)(a) (b) (c)(d)proximal pericallosal (A3) -callosomarginal angledistal pericallosal (A3) -callosomarginal angleproximal pericallosal (A3) -frontal base anglenasion-PC point131.9° ± 20.4°63.1° ± 33.1°23.2° ± 18.1°42.2 ± 15.9 mm

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