T540560
11/12
5「超」入門 手術で治すしびれと痛み1章●総 説1.末梢神経障害の疫学・診断・治療・手術る際,軸索の成長より髄鞘の成熟が遅れ,再生軸索の先端に無髄部が生じるため,その部が機械的刺激に対して鋭敏になることにより生じるものである. 一方,末梢神経の絞扼部を叩くことによって起こる放散痛をTinel様徴候と言う.これは肥厚した神経上膜や瘢痕,癒着した神経を叩いて生じる放散痛であるが,末梢神経障害部位の高位診断の補助となる.そのためわれわれは,末梢神経障害を診断するうえで,Tinel様徴候の有無を大切な所見としている.観察時には関節を伸長する等,観察神経へ負荷をかけて行うのがポイントである.しかし,falsepositive,falsenegativeがあるため,その判断は総合的に行う必要がある.Check!末梢神経障害を診断するうえで,Tinel様徴候の有無は大切な所見となる.5絞扼性神経障害の診断 絞扼性神経障害の診断で最も大切なのは,臨床症状である.まずは患者の訴える症状が単神経由来のものでよいのかどうか,慎重に判断する.神経障害部では上記,Tinel様徴候が確認できると,診断の一助となる. 近年,画像機器の進歩とともに,末梢神経障害を視覚化する試みがなされ,絞扼性神経障図3 代表的な上肢末梢神経障害に伴う麻痺:尺骨神経麻痺による鷲手小指球と骨間筋の筋萎縮が見られる(赤丸部分).AB
元のページ