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4dural border cell layerが牽引されて剥離しやすい前段階状態にあるからと考えられる. 実は,あまり知られていないが面白い説があるんだ.慢性硬膜下血腫と頭の形について研究した韓国の先生の論文なのだが,頭が扁平の人は寝ると頭が扁平の側に傾くので,慢性硬膜下血腫は上になる扁平側とは反対側にできやすいと報告している2).この原因として,重力の影響で上になった側の脳が下垂してdural border cell layerが剥がれやすいからと推論しているんだよ.ユニークで面白い説だね.いずれにしても,軽微な外傷によってdural border cell layerに剥離が起き,くも膜にも傷(arachnoid tear)がつくと,脳脊髄液が場合によっては少量の血液と一緒にこの剥離腔に流入するのが慢性硬膜下血腫発生の第1段階と言える(図1右).この刺激がdural border cell の増殖をきたし,外膜と内膜が形成される.そして外膜の中に次第に新生血管が発生し,この外膜内の血管は硬膜の図1くも膜と硬膜との間に存在するdural border cell layerと,いわゆるarachnoid tear左:正常の髄膜構造を示す.くも膜と硬膜の間にはdural border layerが介在しており,硬膜下腔は存在しない.右:Arachnoid tearによって,dural border layerに亀裂が生じてCSF(cerebrospinal fluid)が流入する.Dura MaterCSFCSFCSFDural border layerArachnoid barrier layerSubarachnoid space with trabeculaPia MaterBrainCSFCSFDuraDuraSkullSkullCSFCSFArachnoid Arachnoid Subarachnoid spaceSubarachnoid spaceBrainBrainCSFCSFArachnoid tearArachnoid tear
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