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iv 慢性硬膜下血腫は脳神経外科医にとって最も日常的な疾患の一つです.穿頭術でほとんどの患者さんの症状は改善するため,脳腫瘍や脳動脈瘤と違い,若い脳神経外科医もあまり本気で勉強する必要性も感じていないのが現状と思います.治療も先輩から教わった方法を踏襲するのみのことが多いように思います.私自身の経験からも,慢性硬膜下血腫の手術が自分自身の最初の手術でした. その後,脳神経外科医として日常臨床で多くの慢性硬膜下血腫の患者さんたちの治療を経験するうちに,この疾患の不思議さ,例えば発生機序や増大機序など分からないことも多く,自分自身,勉強することとなりました.「不思議に思うこと」は研究心を刺激する一番の動機です.また,時に遭遇する難治性再発例,器質化症例,多房性症例,低髄液圧症候群に合併するものなど,治療に難渋する場合も多いことも知りました.高齢者に多い疾患のため,いわゆるfrailty状態の患者さんの外科治療となるために,思わぬ合併症に遭遇することもありました.自分の部下である若い脳神経外科医には「慢性硬膜下血腫を軽く見ていると酷いことになるぞ」と叱咤するとともに,術後管理を徹底するよう指導しております. メディカ出版・「脳神経外科速報」誌から慢性硬膜下血腫に関する書籍の企画を依頼されたとき,正直なところ,誰も読まないのではないかと危惧しました.前述のように若い脳神経外科医の「ありふれた疾患」に対する興味は低く,あえて教科書など読まないことは自分の部下を見ていても分かっていたからです.しかし,「ありふれた疾患」に潜む問題点などを伝えていくことも大切と考えるとともに,若い脳神経外科医が気楽に読める雰囲気が必要ではないかと考え,いささか不謹慎ですが「漫画調」を取り入れました.先輩たちから「軽薄ではないか」とお叱りを受けそうですが,現在の若者があまり英語の成書を読まない傾向は彼らの医局の机を見るとお分かりになると思います.「気楽に」勉強して知識を得るほうが,何も勉強しないよりはマシです.そこで,多くの先生方に専門領域の原稿をお願いするとともに,現在脳神経外科領域の第一人者としてご活躍中の先生方に慢性序 文慢性硬膜下血腫,ありふれた疾患に潜むもの

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