T540600
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正中側にACA A1部が走行し,前交通動脈(anterior communicating artery:Acom)に接続する.Acomから垂直に上方に正中線に並行に上行するのがACAのA2部である.一方,ICAの先端部から外側へ走行するのがMCA M1部である.M1部にはその長さや走行形態には短いものや長いもの,途中から皮質枝を出したりと変異がみられるが,その分枝はいずれも前頭葉外側,側頭葉前2/3,頭頂葉外側,下頭頂葉,後頭葉の前外側と大脳新皮質の広範な皮質領域を灌流する3,4)(図5,図6,図7).脳動脈の後方循環VAは,通常左右の鎖骨下動脈から最初に出る枝である.起始した後6番目の頚椎(ときには5番目の頚椎)の横突孔を通って上行する.やがて,VAは外側方に曲がり,孔環椎後頭膜を貫通し,大後頭孔を通り,硬膜を貫いて後頭蓋窩に入る.頭蓋内に入った左右のVAは後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery:PICA)を分枝し,左右のVAは近づいて一本の脳底動脈となる(図8).脳底動脈はさらに脳幹の前面をほぼ上方に走行し,前下小脳動脈(anterior inferior cerebellar artery:AICA)を左右に分枝する.さらに橋から中脳の腹側を上方に走行して,左右に上小脳動脈(superior cerebel-lar artery:SCA)を分枝し,その直後に左右2本のPCA P1部を分枝する(図9).P1はPcomと接続し,さらに後方へP2,P3,P4とPCA皮質枝は分枝していく.M1A1A2A3M2M3M4図4 左大脳半球の前方循環正面像A:模式図B:脳血管撮影.正面像.ICA内側に脳動脈瘤が見える.BA17第1章脳血管疾患と血液の流れ知っておきたい血管解剖の基本1

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