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24発生学的考察 Barryらは大動脈弓をいくつかの分節に分け,各分節の癒合と退縮から大動脈弓部およびその分枝動脈系の発生を考察した.胎生3〜6週目に左右の腹側大動脈と背側大動脈,この両者を結ぶ左右6対の鰓弓動脈が出現し,消退することでaortic arch systemを形成する.鰓弓動脈の中で,第1,第2は発生の初期に出現した後に消失し,第3のarchが左右の頚動脈に,第4のarchの左側は大動脈弓,右側は右鎖骨下動脈起始に,第5のarchは消失し,第6のarchの腹側部は肺動脈中枢部になり,背側部の左側は動脈管となる.第6のarchの背側部右側は完全に消失する(Fig. 4).このように,通常の左大動脈弓は第4大動脈弓と左背側大動脈から形成されるが,左第4大動脈弓と左背側大動脈が消退あるいは完全閉塞した場合,右第4動脈弓と右背側大動脈が残存することとなり,右側大動脈弓が形成される. つまり,正常の右鎖骨下動脈は右第4鰓弓動脈→右背側大動脈→右第6節間動脈の経路が発達したものであるのに対し,ARSAは胎生期の左背側大動脈(成人における下降大動脈)より起始する右第7節間動脈(7th intersegmental ar-右第IV鰓弓動脈は退縮し,右鎖骨下動脈は右第7節間動脈から形成されるようになる.結果として,心臓側より一番遠位から右鎖骨下動脈が起始する形となる.左大動脈弓異所性左鎖骨下動脈のダイアグラムFig.5A: 胎生期に存在する潜在的なチャンネル.腹側大動脈と背側大動脈を鰓弓動脈が結び,さらに外側には節間動脈が発達し,それを長軸方向に結ぶ椎骨動脈が発生する.B: 正常大動脈弓のダイアグラム.左右の鎖骨下動脈起始部は第IV鰓弓動脈と両側の背側原始大動脈および第7節間動脈の癒合で形成される.Pattern diagram of human's arterial system at the level of aortaFig.4背側大動脈腹側大動脈Lt. VAⅠ12345671234567AAⅡⅢⅣⅥⅠⅡⅢⅣⅥRt. VARt. SALt. SAAB

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