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8基礎研究を積み重ねてきています.また,治療道具に対する日本人らしい細やかな配慮や,治療ストラテジーにおける深い考察と綿密な計画,また治療結果に対する徹底した分析などは,多くの論文となって世に出ています.これらの成果は,デバイスラグによるビハインドやランダム化比較試験の行いにくいわが国の特殊性のために,インパクトに乏しくあまり目立たないかもしれませんが,世界に誇れる財産と思います.上述のように,臨床医が日常診療にとりあえず直結する治療技術を習得することに執着し,病態や治療法の本質や仕組みにあまり目を向けなくなっている昨今,これまでのわが国の歩んできた世界とは異なる道のりをまとめておくことは,再度この治療法の原点に帰り見直すとともに,後世に残すべき貴重な知識財産となると考え,本書の刊行に至りました. 一方,脳血管内治療の領域は,さまざまな知識や技術がフュージョンしてでき上がっている,ある意味裾野の広いテリトリーでもあります.例えば発生学,解剖学,生理学,薬理学,病理学などは,当該ジャンルに深く切り込んだ基礎研究分野であり,もちろん脳血管内治療のフィールドに関係するものを含みますが,われわれの分野はその一部を共有するのみであります.また臨床学として脳卒中学,脳神経外科学,放射線診断学,内科治療学なども,同様に密接に関係しますが,脳血管内治療では解決できないパートも多く含んでいます.そこで,これらの他領域では包括できないわれわれの研究分野を「脳血管内治療学(Neuroendovascular Therapeutics)」と呼ぶことにいたしました.脳血管内治療はすでに30年以上の歴史はあるものの,他の医学分野に比べればまったく新参者の領域です.しかし,100名を超えるわが国のエキスパートにより書き上げられたこの珠玉の集大成は,わが国の培ってきた努力の結晶に他なりません.したがって,本書の表紙をご覧いただけばおわかりのように,そのデザインはわが国を象徴する日の丸をモチーフとしております. 内容的には,脳血管内治療に関するテキストで多く見られる,治療手技のコツやトラブルシューティングの紹介,珍しい症例のケースレポートなどはサイエンスと言えないので取り上げられておりません.一方,紙面の都合上,さまざまな報告やエビデンスを簡潔にまとめることは困難であるため,世界的にもコンセンサスの得られた知見を平等に紹介,説明するというポリシーは守りつつ,表などを用いてなるべく簡潔に表現するようにいたしました.また黎明期より現在までの

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