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9変遷を伝えることは本書の意義の一つでありますので,否定されたり廃れたりした過去の考え方や治療法も紹介しております.これはめまぐるしく変化,進歩してきた30年以上に及ぶわが国の脳血管内治療の歴史の中で,なぜここに至ったかを,後方視的に見直し,修正履歴の中からさらに今後予想される展開や残された課題にも言及することで,より理解と納得をしやすくすることを目的の一つとするからです. しかしながら,やはり「脳血管内治療学」は極めて臨床的な学問であります.したがって,研究内容は必ず治療に生かされなければならないと考えられるため,すべての章の項目には「治療に必要な……」「治療上……」「治療を補助する」など,「治療」という言葉の足かせがはめられています.これがどのように臨床に生かされているかを知り,さらに次のアイデアやさらに進めた研究に展開し,またそれが治療に還元されることを橋渡しすることこそが本書の目的であり,期待でもあるからです.読者の皆様が百科事典のようなテキストとして日常臨床に役立てていただくことは最も切望するところでありますが,本書がわが国の脳血管内治療の今後のさらなる発展のためのマイルストーンとなり,ひいては海外の国へもメッセージを送ることができればこのうえない喜びであります. 最後になりましたが,貴重な玉稿をご執筆いただいた先生方にはこの場をお借りして,改めて心より感謝申し上げます.2018年7月愛知医科大学脳血管内治療センター宮地 茂(編者代表)筑波大学脳神経外科脳卒中予防治療学講座松丸 祐司亀田総合病院脳神経外科田中 美千裕
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