このムーブメントを「中里現象」と呼ぶことに決めた。次から次へと繰り出されるその手腕。いかにも鮮やか。ただのアクションなら独り相撲に過ぎないけれど、そこは達人のことだ。そんなもので済むわけがない。きっと周囲を巻き込んで力強い潮流になるのだ。何しろ、しっかりと渦に包み込まれた、当の私が言うのだから間違いない。はじめは、ちょっとしたさざ波かもしれない。やがて大きなうねりとなり、いよいよ社会を動かすことになる。そうだ、これは社会現象だ。著者は名うての仕掛け人。根っからの行動人である。旺盛な好奇心で新しい枠組みを取り入れる、その気概。本書に触れて、あなたもきっと中里現象に魅了されるに違いない。 「プロローグ」を開く。ほうら、やっぱり、あるある。N教授の行動力が、まさに国の施策を動かさんとする丁々発止のこの熱気。てんかん医療向上への願いにあふれ、夢の中まで全身どっぷりと。 てんかんを取り巻く状況は、いまだ厳しい。「診断」「治療」「回復」。三拍子がうまく回らない悔しい現状。本書は混沌とした医療社会を相手にズバズバ切り込んでいく。本気で解決しようと全力で進むから、慣習や建前なんか気にしていられない。著者は、専門医、非専門医、患者、家族、それぞれの目線を織り込んで、合理的な診療を語りかけてくる。なぜ、うまくいかないのか。では、ど推薦のことば
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