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 私が医学部生の頃。元気だった祖母が、的外れな発言をしたり、ボーッとしたりすることが増えた時期がありました。おかしいなと思っていると、ある日、散歩から帰って来ることができず、家の近くの交番から連絡がきたのです。「認知症か?」 年齢は80歳近く、認知症が始まったとしても何ら不思議はありません。ただ引っかかったのが、普段は意識も思考もはっきりしていることでした。また散歩に行っても、帰って来られる日もあるのです。「てんかんかもしれない」 当時、すでに医師として働いていた姉がそのように言って、病院で脳波をとってみると、疑わしい波形が出ていました。そして、少量の抗てんかん薬を飲み始めてみると、症状はすっきりとなくなっていきました。いわゆる「高齢者てんかん」だったのです。もし姉が気づかず認知症として治療が続いていたら、と思うとぞっとしてしまいます。また、「てんかんとは、泡を吹いてけいれんするもの」という固定観念を持っていた私は、てんかんという疾患の奥深さを感じたのです。 もともと脳に興味関心があり医学部に入学した私は、その後、脳神経外科医の道を進み医師になって3年目、とある勉強会で、講師の中里先生のお話を聞く機会がありました。 「あの東北大学の中里教授の話が聞ける!」(当時からすでに、推薦のことば

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