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12 脳SPECTパーフェクトガイド松田博史 Hiroshi MATSUDA国立精神・神経医療研究センター脳病態統合イメージングセンターⅠ.仕組み①断面の放射性同位体分布を画像化 化合物に標識された放射性同位元素を体内に投与し,撮像目的の臓器に集積させた後に放射性同位元素から放出されるガンマ線を測定することによって画像診断を行ったり,放出されるアルファ線やベータ線を用いた内照射によって治療を行ったりする医学を核医学とよんでいる.核医学の画像診断で用いられる放射性同位元素には,陽電子(positron)を放出するものと単光子(single photon)を放出するものがある. 単光子放出核種の体内分布とその時間経過を画像化するために用いられる装置が,ガンマカメラであり,発明者の名をとってアンガー型ガンマカメラという.ガンマカメラにはシンチレーション検出器(scintillation detector)が使われている.シンチレータ(scintillator)はヨウ化ナトリウム(NaI)の1枚板の結晶で,その後ろに数十本の光電子増倍管が並んでいる.さらにシンチレータの前面にはコリメータと呼ばれる,小さい穴が多数開いた鉛製の板が置かれている.コリメータの穴に平行に入射するガンマ線はコリメータを通過するのに対し,穴に対して斜めに入射するガンマ線は遮断されるので,コリメータ前方の空間に分布する放射性同位体の分布をシンチレータ面に写し出すことができる.ガンマ線は,シンチレータに到達して光に変わり,さらに光電子増倍管によって電気パルスに変換されるが,どの光電子増倍管からどれだけのパルスが出力されたかによって,シンチレータ面のどの位置にガンマ線が入射したかを計算することができる. ガンマカメラを回転させてさまざまな方向から撮影した平面画像を収集し,それをX線CT(computed tomography,コンピュータ断層撮影)の原理を用いてコンピュータで再構成し,断面の放射性同位体分布を画像化する手法が,単光子放出コンピュータ断層撮像法(single photon 1総 論ASPECTの仕組みと意義

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