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4が相互に等価なネットワークで接続されているとする立場であり,あらゆる機能は全体で処理されているとする.これに基づけば,ある領域が損傷を受けた場合,ただちに特定の症状につながるのではなく,全体のネットワークの機能低下としてこの損傷を受け止める形になる. これに対して,局在論は,すべての皮質には特定の機能が張り付いているとするため,ある領域が損傷を受けると,当該領域の症状が必ず出現することになる.現在までの神経科学的知見を総合すると,上記両極端の2つのモデルは,ともにそのままあてはまらないのは自明である. 連合論においては,脳の機能は,「脳内の複数の皮質領域が白質によってつながれた多くのサブネットワークが支える」と考える.したがって,ある領域の損傷は,当該領域の局在的な症状と,これに接続されているネットワークを介して複数領域の機能の変容が起こると考える. Hodotopyないしhodotopic frameworkは,2005年にCatani(カターニ)らによって提唱された概念であり,脳と機能を捉える枠組みとして,局在論的なアプローチ(topological approach)とネットワークの接続の状態をみるアプローチ(hodological approach)の両面をあわせて考える.脳内の複数の領域からなるネットワークを想定し,Hodotopy 今日では,脳が認知・行動の機能を担っていると考えるのが当たり前だが,歴史的には紀元前4世紀のアリストテレス以後ルネサンス期まで,長らく心臓に「心」があるとされる暗黒時代が続いた.ところが,彼より遡ることさらに千有余年,古代エジプト時代に驚くべき書物があった.Edwin Smith Papyrusと呼ばれる紀元前17世紀の古文書である.イムホテプという神官が著したとされる外傷の診断と治療に関するテキストブックで,本書には,驚くべきことに,脳・脊髄・髄膜・髄液など重要な解剖構造について既に記載がある.特筆すべきは,脳や脊髄損傷部位とその結果として生じる機能障害についても述べていることである.この本に登場する症例番号20番の患者は側頭部に外傷を受けて,創は骨を貫通していたが,この部の損傷で言葉を理解することも話すこともできない状態になるとある.今日的に考えれば,優位半球の側頭葉にはウェルニッケ野など言語に関する重要な構造があるので,失語症が生ずることは十分考えられることである.また,一説には,この患者の脳に触れると失語症状を誘発したとの記載もあり,この話が本当だとすれば,数千年前に皮質マッピングの先駆けともいえる観察がなされたことになる.残念ながら,この後,人類が19世紀に上記の言語野を発見するまで実に3500年以上もの期間を要することになる.古代エジプトの先見性に感嘆するとともに,患者一人一人をきちんと記載し先入観に支配されずに考えることが,如何に重要であるのか痛感させられる.医学・脳科学はまだまだ未来へと続くが,悠久の歴史のなかでわれわれの取り組みはどんなふうに語られるのであろうか.(Minagar A, Ragheb J, Kelly RE: The Edwin Smith surgical papyrus: description and analysis of the earliest case of aphasia. J Med Biogr 11: 114-7, 2003)Column 1エドウィン・スミス パピルス

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