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第1章大脳白質解剖概論5各領域の接続状態には,興奮性・抑制性の接続がある.したがって,単に特定の皮質領域だけが損傷を受けたとしても,その領域の担当する機能の低下だけでなく,接続されている領域の機能変容を考慮に入れる.興奮性の接続領域では皮質機能の低下が生じるし,抑制性接続領域では,逆に当該皮質機能の過剰が生じることになる(図2).病変が皮質と白質の両者を巻き込むような場合には,当該皮質とこれに直接接続する皮質領域の機能変容にとどまらず,一般的には,深部の白質が接続している,より広範な皮質領域の機能変容につながる. このhodotopyという考え方が,果たしてマクロレベルの皮質間ネットワーク,すなわちわれわ1. 正常ネットワーク状態(例)病巣 •皮質 •白質 •皮質・白質影響 Topological Hodological 興奮性(赤線)・抑制性(黒線)機能障害 陰性症状 陽性症状2. 皮質単独病巣(皮質D損傷)ABCDEABCDE3. 白質単独病巣(BC皮質下損傷)ABCDE4. 皮質・白質複合病巣(DE皮質+皮質下)ABCDE Hodotopyないしhodotopic frameworkでは,複数の皮質領域がネットワークで結ばれ神経回路を形成する.病変としては,皮質単独,白質単独,皮質・白質複合の各病変が想定され,病変の影響にはtopological,すなわち局在的・局所的な影響と,hodological,すなわちネットワークの接続状態による遠隔的な影響がある.hodologicalな影響については,興奮性接続であるのか抑制性の接続であるのかによって,及ぼす影響が異なり,結果として生じる機能障害では陰性症状が出る場合と,陽性症状とがある.1ではA〜Eの5つの皮質領域の正常状態を示す.A-BとC-Dはそれぞれ隣り合う皮質であり,この間はUファイバーで接続される.またB-CとD-Eはそれぞれ,短連合線維で結ばれ,A-Eは長連合線維で接続される.ここで,赤線は相互に興奮性接続,黒線は相互に抑制性としている.2では皮質Dの損傷の場合を図示している().皮質Dの局所の機能低下のみならず,抑制接続しているEは脱抑制・すなわち過剰な興奮が,興奮性の接続でつながるB・Cは機能低下がみられる.Aは機能低下の影響と,興奮性の影響の両者が相殺される.3はB・C皮質下の白質損傷,4はD・Eの皮質と皮質下(白質)の両者の損傷を伴った場合を記述している.図2Hodotopy(hodotopic framework)①

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