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13血栓回収療法 Technical TipsI 患者を安全かつ迅速に受け入れる工夫1.患者搬送(救急車)と院内発症対応のコツかかるのは,脳卒中発症直後に看護師などの発見者から主治医に連絡が行き,主治医が画像評価後に神経系のオンコール医師に連絡するという体制が原因と考えられ,主治医が繁忙であると検査,神経系医師への連絡が後回しとなり,治療が後手に回る可能性がある.当院では医療安全委員の協力の下,発見者が画像評価の前に直接神経救急当番に電話するシステムを構築した.ポスターを作成し,院内スタッフ(特に患者さんと直接する看護師,リハビリ技師)等に周知(図3)している.ポスターは極力シンプルになるように工夫した.脳卒中は時間勝負であることを強調し,疑われた場合は迅速に診断を行うと積極的な治療が可能であることを表記している.画像診察の前に連絡をもらえるように脳神経当番の番号とともに表記しており,脳卒中が疑われるときの症状,脳神経当番への連絡後の確認事項を記載している. 院内発症脳梗塞はスタッフの啓発,煩雑な連絡系統を整理することで迅速な対応が可能である. 心臓外科入院中,僧帽弁形成・三尖弁輪縫縮術を施行後,ICU入室中.術後心房細動あり,ヘパリン8,000単位/日を投与中.術後3日目朝食後に突然視点が合わず,左手足が動かしづらくなったのを看護師が覚知,発症から5分で脳神経当番へ連絡が入った.心臓血管外科術後早期でありrt-PA静注療法は禁忌,ドレーン挿入中のためMRIも撮影不可能のためCTで早期虚血巣がないことを確認し(図4A),発症から55分で脳血管撮影施行.右中大動脈遠位部の閉塞を認め,発症から1時間40分で完全再開通が得られた.術直後NIHSSは0点に改善(図4B). 院内発症は必ず一定数存在することを念頭に置き,院内職員への啓発ポスターを用いるなど体制整備を行うと,院内発症も発症時から迅速に対応可能となる.代表症例:74歳女性院内発症の脳卒中に対する啓発活動図3脳卒中は時間勝負であることを強調啓発の主な対象者・病棟看護師・病棟主治医・研修医画像の前に脳神経PHSへ連絡することを強調PHSへ連絡後,確実な発症時間,家族が来院可能かを確認脳卒中が疑われる症状をイラスト付きで提示

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