急性期脳梗塞に対する血栓回収療法のクリニカルエビデンスが確立し,日米のガイドラインでも強く推奨されました.このような背景から,血栓回収療法はすでに脳卒中医療において欠かせない技術となっており,その治療数は年々増加しています. しかしその実施にあたっては,病院への迅速かつ適切な搬送,病院到着後の時間短縮,さらには確実なカテーテルテクニックなどが求められ,経験豊富な臨床医しか知り得ない「Tips」も多く存在します.そこで臨床の第一線で活躍する新進気鋭の執筆者が結集し,最新知識の習得と本治療の実践に役立つ書籍を刊行することとしました. 本書ではこの治療を成功させるためのコツを4分野に分けて,実践的かつ詳しく解説しています.まず,「I 患者を安全かつ迅速に受け入れる工夫」では,患者搬送における重要ポイントと院内体制整備の工夫について紹介しました.次に,「II 治療成功のコツ!」では,本治療を成功させるためには何をどうすればよいのかについて,画像読影から術後管理まで幅広く解説してもらいました.「III テクニックを磨く!」では,血管閉塞部位ごとに,ステントリトリーバー派,吸引デバイス派,併用派の3つに分けて,それぞれのエキスパートから最新のテクニックを紹介してもらいました.そして,「IV デバイスを知る!」では,本治療に使用される機器に関する情報が詳細に解説されています. Technical Tips満載の本書は,きっと皆さんの診療に役立つものと確信しています.ぜひ多くの方に手に取っていただき,一人でも多くの脳梗塞患者さんを救ってほしいと願っております.2019年6月兵庫医科大学脳神経外科主任教授吉村 紳一一人でも多くの脳梗塞患者さんを救うために序 文3血栓回収療法 Technical Tips
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