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11血栓回収療法 Technical TipsI 患者を安全かつ迅速に受け入れる工夫1.患者搬送(救急車)と院内発症対応のコツる場合には,CTA,MRAでの血管評価をスキップする.具体的には,皮質症状と麻痺を有し,単純CTのASPECTS Scoreが6点以上であった場合は脳血管撮影に移行する(図1).③血管撮影装置,カテ台の準備は,業種にかかわらず手の空いたスタッフが行う 血管撮影装置の電源の立ち上げ方を壁に貼り,一目瞭然にする.器械台のまわりは極力キット化を行い,簡素化する(図2).  患者搬送には,rt-PAを前医で行うdrip shipと機械的血栓回収を行う施設に直接搬送するmothershipがある.これらは医療圏に脳卒中に対応可能な医師の存在の有無による.対応可能な医師がいない場合はmothershipが推奨されるが,対応可能な医師が多忙の場合も無理にdrip shipをせずに可能な限り速やかな患者,患者家族の転送を推奨し,診療情報提供書等は 市中病院では院内の体制は大きく変えられない場合もある.いかに効率よく取りこぼしなく患者さんを救えるかを考え,自院の体制に合わせた血栓回収のプロトコルの作成が有用.患者搬送(救急車)の対応搬送後にfaxなどで送ってもらっている. 当院は2016年から24時間365日急性期の機械的血栓回収療法に対応できるチームを形成,救急隊,近隣病院と連携し機械的血栓回収療法を施行している.年1回,救急隊に対して機械的血栓回収療法の講義を行い,脳梗塞は積極的な治療を行えば治る時代に突入したが,時間が肝要であり,適切な施設への迅速な搬送が必要である旨を伝える.当院から多少離れている現場からでも,無理に脳卒中救急に対応していない病院にいったん搬送して転送となるよりも,当院に直接搬入した場合のほうが時短となることを繰り返し説明している.脳卒中が疑われる患者を救急隊が覚知した場合,救急隊より直接脳神経当番へつながる電話で一報が入る.盛岡医療圏以外の血管内治療専門医が1名しかいない病院でその1名が外来,手術などで対応できない場合はいつでも当院で受け入れる旨を連絡し,mothershipでもよいので迅速な転送をお願いしている. 搬送前にある程度の情報が集まっていること,搬送中の時間を利用して機械的血栓回収の準備が行えることから搬送距離での成績に差は認めないため,距離,環境に合わせたシステムは有用である.脳梗塞のプロトコル図1患者来院・CT撮影rt-PA適応nono発症8時間以内従来の保存的治療yesyesrt-PA静注療法主幹動脈閉塞yesno脳血管撮影血栓除去MRIをスキップ造影CTをスキップ

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