って最後にステントを展開する.そうすれば,最初のコイルでマイクロカテーテルが瘤外に押し出されてコイルを入れるのに苦労するような事態は避けられることが多い.また,ステント選択時にネックカバーを主体に使用するのか,ow diversion効果を期待するのか,ステントで解剖学的な変化を期待するのかによって使用するステントは異なってくる.⑦Scepterからステント展開する利点 我々がScepter(テルモ)からステントを展開する理由は,以下の通りである.1) バルーンリモデリングである程度コイルの巻き具合がわかる(場合によってはステントなしにコイル塞栓できることもある).2) ステントを展開してしまうと,最初のコイル挿入時にマイクロカテーテルが押し出され,次のコイル挿入が困難となることがある.3) 術中破裂をきたした場合に,Scepterを使っておけばすぐに血流遮断をすることができる〔ScepterからNeuroform Atlas(日本ストライカー)を展開することはメーカーからは推奨されていないが大多数の症例で可能である〕.⑧Multiple stent technique Telescopic stent,half T,T,Y,U,X stentの使用にあたってはステントの特性を知り,その使用に習熟することは必須であるが,ステントストラットをマイクロカテーテルでクロスすることは必ずしも容易ではない.できない場合,ほとんどの原因はledgeによるものであり,ledgeの少なくなる太めのガイドワイヤーを用いることで対応できることが多い.⑨出血性合併症への対応 術中合併症としては,破裂,穿孔,血栓塞栓性合併症がある.破裂,穿孔にはヘパリン中和(状況にもよる),血圧低下は当然であるが,最も有効な手段はバルーンによる血流遮断である.「バルーンはtemporary clip」と考え,常に準備しておくことが必須である.また,末梢血管をガイドワイヤーで穿孔することも時に経験するが,抗血小板薬内服中のこの合併症は時に致命的となることがある.止血困難と判断すれば穿孔血管の塞栓,開頭術への移行をためらってはならない.⑩虚血性合併症への対応 血栓塞栓性合併症が生じたときの対処法の原則は,まず不要なカテーテル等のデバイスを抜去し,瘤のネック周囲の血流を良くすることである.その上で抗凝固薬,抗血小板薬の強化を行うことである.ただし,やりすぎると出血性合併症につながるので血栓塞栓性合併症から脱却できれば早期に中止することも必要である.脳動脈瘤脳動脈瘤コイル塞栓術に対する基本的な考えと応用手技0章113脳神経血管内治療 次の一手
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