今回の症例は,50歳女性で,内頚動脈(ICA)に高度の屈曲蛇行を伴い,アクセスに困難な中大脳動脈瘤(MCA AN)です.また,動脈瘤のネックはさほど広くはないのですが,高さがなくエイリアンの頭のように前後に広がった形(4×4×8mm)をしています(図1).治療の難易度はそれほど高くないのですが,このような症例は逆に取りこぼしのないように確実に塞栓する必要があります.脳動脈瘤コイル塞栓術の基本に立ち返り,本症例の治療法について検討していきたいと思います.左総頚動脈(CCA)撮影ですが,ICAは2カ所で強い屈曲蛇行を認めます(図2).アクセスルートに屈曲蛇行を伴った症例にどのように対応するかが今日のテーマです.症例紹介14脳神経血管内治療 次の一手章1寺田 友昭1),藤本 剛士2),恩田 清3)1)昭和大学藤が丘病院脳神経外科2)宇都宮記念病院脳神経外科3)新潟脳外科病院脳神経外科内頚動脈に高度の屈曲蛇行を伴った未破裂中大脳動脈瘤の1例─アクセス困難をどう克服するか?1脳動脈瘤1屈曲蛇行の強い内頚動脈に親カテーテルを挿入する場合には,血管攣縮予防のために灌流ラインにヘパリン化生食1,000mLあたりミリスロールⓇ1mLを加えておく.2DD6をできるだけ末梢に挿入するためには,カテーテルの先端に形状を付けて4.2F FUBUKIと0.035inchのガイドワイヤーで誘導してみる.3屈曲を越えないときは,coaxialの4.2F FUBUKIをできるだけ末梢まで誘導し,その後ガイドワイヤーを抜いてFUBUKIをガイドワイヤーとしてDD6を進めてみる.そうすれば,血管壁外側に当たりながらDD6が進んでいくことが多い(sliding technique).次の一手(表技・裏技)難易度★★★
元のページ ../index.html#12