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13疫学1おいて15年という長期の観察期間においてみられた,心房細動患者における心不全の発症(左)と心不全患者における心房細動の発症(右)をみたイベント曲線である.互いに累積して発症していくペースはほぼ同一であり,しかも長期的な生命予後をみていくと,いずれの群においてももう一方の疾患の発症があった患者群が,そうでなかった患者群よりも生命予後が悪いことがわかっている.すなわち,心不全と不整脈のどちらが先であっても他方を呼び込む傾向があり,しかも双方が重なった場合の予後は(どちらが先行していたとしても)より悪い影響を及ぼすこととなる.さて,慢性期心不全と不整脈の関連で臨床の現場で問題となることが多いのは,上記に示した心房細動のような上室性不整脈と,もう一つは発症後即座に致死的となりうる心室性不整脈である.以下の各論のセクションでは,まず代表的な上室性不整脈である心房細動・粗動と心不全の関連を詳述し,その後心室性不整脈と心不全の関連について述べることとする.心房細動・心房粗動合併症例の頻度とマネージメントに関するエビデンス心房細動や心房粗動は健常者のみならず,心不全患者でも最も頻繁に遭遇年000.10.20.30.4246810683454360250171120追跡者数年追跡者数心房細動の累積発症率心不全の累積発症率000.10.20.30.42468107083232301469262図1 フラミンガム研究における心房細動患者における心不全の発症(左)と心不全患者における心房細動の発症(右).(文献1より改変)

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