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1疫 学1膵癌の疫学……… 5 膵癌登録の解析は10年ごとに報告されており、直近では2012年にEgawaらがまとめています8)。それによると膵癌は徐々に早期の診断が増え、2001-2007年の期間ではUICCステージⅣである遠隔転移を持った膵癌患者は半数以下となっています(図3)。ただし、割合に関しては本邦のハイボリュームセンターの成績が大きく反映されていること、内科と外科の登録施設の割合などを加味して判断する必要があります。 膵癌の予後は発見時のステージで大きく異なり、UICCステージ0では5年生存率が85%に達する一方、ステージⅢでは切除しても10%に満たず(図4)、早期発見・治療が予後に大きく影響することが示唆されています。10年単位でみると膵癌の生存率は改善しており(図5a)、特に切除後の予後の改善がみられます(図5b)。UICCの分布変化をみると前述のようにステージの低い症例が増加しており(図3)、早期発見が影響していることが示唆される一方で、ステージ別でも予後改善がみられており(図6)、効果的な化学療法が寄与している可能性があります。しかしながら総じて予後改善効果は限定的で、図5aに示されているように10年生存の長期生存者の割合の向上はみられておらず、罹患率と死亡率が非常に近い事象は大きく変化していません。また、ステージⅠaおよびⅠbでは予後改善がみられていないことは留意すべきです。 切除対象となる中で大多数を占めるステージⅡa、Ⅱbの予後因子としては病理学的グレード、腫瘍の大きさ、リンパ節転移郭清度、術後補助化学療法の有無が挙げられています。これらの解析の中で、腫瘍の大きさが予後に大きく影響することから、『膵癌取扱い規約(第7版)』では5mm以下をT1a、5mmを超えて10mm以下をT1b、10mmを超えて20mm以下をT1cとして局所進展度Tを細分化しました。 近年AYA世代発症の癌が注目されていますが、膵癌登録でも若年発症である40歳以下発症の膵癌症例についての解析が行われています9)。40歳以下の膵癌症例は、526症例で膵癌登録全体の1.5%を占めており、家族性因子の割合は40歳以上と同等、UICC T4やM1の率が有意に高く、予後が不良でした。しかし、ステージで補正すると40歳以下での無再発生存率および生存率に差は認められ4 若年発症膵癌UICC-Stage 0UICC-Stage Ⅰa UICC-Stage ⅠbUICC-Stage ⅡaUICC-Stage ⅡbUICC-Stage ⅢUICC-Stage Ⅳ4119691,4841,9253,1924,46111,140155.1120.3100.824.415.89.35.397.4%93.7%88.5%71.8%60.2%37.2%20.3%93.5%76.4%69.3%40.4%21.2%7.9%4.4%85.8%68.7%59.7%30.2%13.3%4.7%2.7%NMST1-yr3-yr5-yr図4… 本邦におけるステージ別生存曲線Egawa S, et al. Pancreas. 41(7), 2012より抜粋図3… 本邦におけるUICC進行度別分布Egawa S, et al. Pancreas. 41(7), 2012より抜粋2001-2007All treatment p<0.00011991-20001981-19902001-20071991-20001981-1990StageⅠaStageⅠbStageⅡaStageⅡbStageⅢStageⅣUnresected p<0.00012001-20071991-20001981-1990Resection p<0.0001
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