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日比野直仁 Naohito Hibino ● 徳島県鳴門病院整形外科部長01槌指12の2方向を撮像する. 側面で中節骨の骨頭がきれいに重なった側面を撮像する.Point 陳旧例ではCTを撮像し,骨欠損の範囲などを確認しておく. 骨折がなければ腱断裂による腱性マレットが疑われる.鑑 別 Heberden結節に伴う伸展制限があるかどうかを確認する.外傷の契機があるかどうかを聴取する.Heberden結節の場合,関節症性変化を認める.治療法の選択1. 骨性マレット:終止腱の付着部が三角骨片を伴い骨折する 転位がないあるいは転位がごく軽度の場合には保存的治療を選択するが,骨折部が離解するような転位があれば基本的には手術療法を選択する.特に背側骨片が関節面の40%以上を占める転位骨折はDIP関節の亜脱臼を呈するため,手術適応である.受傷からの時期,骨片の大きさにより治療法を選択する.・新鮮例(受傷から3週以内):石黒変法で経皮鋼線刺入固定2-6).・亜急性(受傷から3~6週):骨折部を経皮的に搔爬後,石黒変法で経皮鋼線刺入固定.槌指=マレット指 多くの場合“突き指”で生じるが,遠位指節間(distal interphalangeal:DIP)関節を自動伸展できない状態をいう.以下の2つの病態が存在する.・終止腱が切れる=腱性マレット・終止腱の付着部で末節骨が折れる=骨性マレット いずれの状態も末節骨に終止腱(伸筋腱)の力が伝達されずDIP関節が伸展しない.受傷機転,症状1. 受傷機転1)・腱性マレット:伸展位でいるときに屈曲を強制された場合に起こることが多い.・骨性マレット:突き指など長軸方向からの軸圧で骨折が起こることが多い.2. 症 状 骨性,腱性にかかわらずDIP関節の自動伸展制限=伸展ラグ(他動伸展は可能だが,自動伸展が制限された状態)がみられる.近位指節間(proximal interphalangeal:PIP)関節の過伸展変形を伴うスワンネック変形を認める場合もある.診 断 DIP関節の自動伸展制限を認める.他動伸展は可能である. X線では指のDIP関節を中心とする正面,側面

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