14骨性マレットの手術治療1. 新鮮例(受傷から3週以内の症例) 新鮮例では石黒変法により骨接合を行う.症例を供覧しながら手技を解説する.1)骨片が大きい場合5) 症例供覧:13歳,女性,バレーボールで受傷.伸展ラグ15°.受傷後7日目に手術(図2A, B). 0.7 mm Kirschner鋼線を骨片に刺入した(図2D).手術のコツ 0.7mmのKirschner鋼線を軟骨下骨ギリギリに刺入する.骨片を割ってしまわないよう細心の注意を払う(図2D). 指屈曲位で骨片を掌側へ移動させた後,中節骨頭背側から1.2 mm Kirschner鋼線を伸展ブロックピンとして,刺入固定した(図2E). 伸展ブロックピンを入れるとterminaltendonを近位へ牽引してしまうことにより,骨片が背屈してしまうことが多い.骨片に0.7mmKirschner鋼線を刺入しjoystickとして骨片をコントロールすることで,整復位の再獲得が可能となる(図2E, F).Point 続いてDIP関節を1.2 mm Kirschner鋼線で関節固定した.石黒法の原法は屈曲位での関節固定であるが,伸展ラグが問題になることが多いので,われわれは伸展位で固定している6). 関節固定は可能な限り掌側よりでKirschner鋼線を刺入することにより,X線でフォローする際に骨折部の骨癒合状態が把握しやすい(図2G).Point 術後,約5週で抜釘(図3)し,その後,中節部をしっかりブロックして自動屈曲,伸展を行わせる.夜間スプリントは術後8週間装用させる.伸筋に比図2 13歳,女性,骨性マレットの新鮮例(骨片が大きい場合)A・B:初診時X線側面,正面C:透視画像D:骨片に0.7mmKirschner鋼線を刺入E:伸展ブロックピンを刺入F:関節面を整復後,骨片を0.7mmKirschner鋼線で固定G:DIP関節を固定ABCDEFG
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