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10げるビーチチェア位を用いた肩関節鏡手術中の広範囲脳梗塞の報告もあるため6),head upは30°までにすることが重要である.THA,TKA,脊椎手術において術後脳梗塞発症のリスクは脳梗塞の既往と抗血栓薬休薬といわれている7,8).頚動脈エコー所見が虚血性脳卒中発症と関連があるといわれており,リスクの高い症例においては術前頚動脈エコーを考慮する.プラークによる占拠率が50%を超えるもの,動脈拍動とともに可動性を有する可動性プラーク,急速な形態変化や病態の進行を認めるプラーク,プラーク表面の形態で潰瘍形成を認めたプラークなどを認める場合には,脳塞栓症の塞栓源となり得るため,専門医の受診が望ましい.血糖コントロール 周術期の高血糖状態は免疫力の低下から感染リスクが上がり,術中の循環不全や術後腎障害の危険性も高まる.そのため術前に血糖コントロール不良である場合は,緊急性が低い手術では延期する必要がある.日本で糖尿病の加療を受けている患者数は2017年時点で300万人以上いるとされている.この他に糖尿病の指摘を受けていない,または未治療の患者が多数いると考えられるため,術前検査において糖尿病の有無(空腹時血糖およびHbA1c)をチェックす表1 整形外科手術のリスクレベル(文献2より)表2 静脈血栓塞栓症の付加的な危険因子の強度(文献2より)図1 弾性ストッキングと間欠的空気圧迫法(文献3より)リスクレベル整形外科手術予防法低リスク上肢手術早期離床および積極的な運動中リスク脊椎手術骨盤・下肢手術(股関節全置換術,膝関節全置換術,股関節骨折手術を除く)弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法高リスク股関節全置換術膝関節全置換術股関節骨折手術間欠的空気圧迫法あるいは低用量未分画ヘパリン最高リスク「高」リスクの手術を受ける患者に,静脈血栓塞栓症の既往,血栓性素因が存在する場合低用量未分画ヘパリンと間欠的空気圧迫法の併用あるいは低用量未分画ヘパリンと弾性ストッキングの併用危険因子の強度危険因子弱い肥満エストロゲン治療下肢静脈瘤中等度高齢長期臥床うっ血性心不全呼吸不全悪性疾患中心静脈カテーテル留置癌化学療法重症感染症強い静脈血栓塞栓症の既往血栓性素因下肢麻痺下肢ギプス包帯固定

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