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14はじめに 当院では,「術前計画」を1.「外傷整形術前計画テンプレート」の入力と2.「術前作図」の描画の2つに集約しており,これが完成すればひとまず準備ができたと言えるでしょう.逆に言えば,これができていなければ執刀への道は拓けません. 本書の第2章「術前計画 52症例」では,1ページめに各症例の情報,術前画像を提示したあと,外傷整形術前計画テンプレートの内容を書き起こして左ページ(2ページめ)に,術前作図を右ページ(3ページめ)に記しました.外傷整形術前計画テンプレート 四肢骨盤外傷は慢性疾患の手術と比較して鎖骨から足趾まで部位が多彩であり,多発外傷に対する複数同時手術や緊急手術も多く,定型的な準備が難しいことが課題です. そこで,当院では医療情報部に依頼して電子カルテ上で外傷整形術前計画テンプレートを作成し運用しています(図1,図2).(当院の電子カルテはFUJITSU HOPE/EGMAIN-GX). 手術日程,診断名,骨折分類,麻酔法,麻酔器位置,体位とその順序,接続台,透視装置位置,ターニケットの使用,準備物品,敷布,術式,手術アプローチ,固定法,使用インプラント,検体提出,閉創法,術後ドレッシング,外固定,リハビリなど多岐にわたる項目を入力します. 初療対応中や緊急手術の際にもクリックのみで迅速に入力できるようにチェックボックス形式としており,固定法の項目だけは従来紙上での術前作図の際に紙に書き込んでいた術中手順の箇条書きの内容をフリーで入力します.手術室看護師に正確に意志を伝達し,余裕ある準備をしてもらうことができ,術前の質問や術中に手術室を出て物品を取りに出る頻度も激減し,好評です. 今では,このテンプレートをプリントアウトして壁に貼って手術室の準備をする若手看護師が多く,入力が遅れていると催促されることもあります. 手術を頭でイメージしながら順番にクリックしていくだけで,初療からリハビリまで順を追って漏れることなく一貫した計画を立てることができ,電子カルテ上に保存できるためデータ管理も容易となります. また,外傷経験の浅い医師が入力すれば何がわかっていて何がわかっていないのかが一目瞭然であり,外傷整形初期教育のツールとしても有用です. 本書では,plate固定のscrew挿入位置は,近位から1,2,3穴目をP1,P2,P3,遠位外傷整形術前計画テンプレート1

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