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15膝関節鏡視下手術第1章01関節鏡の発明と歴史る際は泌尿器科で使用しているティーチングスコープを接眼部に取り付けて同一視野を観察せざるを得なかった.しかしこれは出てきた画像の光量を分け与えるシステムであるため,術者の視野が暗くなってしまうので,肝心な場面では術者が使用をいやがってしまう欠点があった.また側視鏡ももうすでに存在していた(図4).当初は関節鏡視下手術は行われず,観察や滑膜生検が行われ,1957年には『Atlas of Arthroscopy』が出版された1).1962年,渡辺正毅先生が初めて関節鏡視下半月板切除術を行った.1970年には径1.4mmの24号関節鏡が発売された.豆電球では光量が低いため外部から冷光源で光を導く21号CL型が開発され,視野は飛躍的に明るくなった(図5).外国からはRobert W. Jacksonが渡辺正毅先生の下に勉強に来て,そこから北米に広がっていった.発展期 豆電球から冷光源となり次いでビデオシステムが1980年代後半に開発されると,関節鏡視下手術は飛躍的な発展を遂げた.また術者でなくとも手術操作がモニター画面で観察できるようになると,手術技術の習得も容易になった(図6).同時に足関節,肩関節,肘関節,股関節の順に他の関節への関節鏡視下手術が行われるようになり(図7),小関節や手根管,脊椎などの関節外にも応用されるようになった.おわりに 日本がオリジナルである関節鏡を若手の医師の方々でさらに発展させてほしい.渡部式21号関節鏡(側視鏡)図4渡辺式21号関節鏡CL(「日本整形外科学会ホームページ.歴史的医療機器の保存について.https://www.joa.or.jp/joa/files/save.pdf」より許諾を得て転載)図5初期のビデオ式関節鏡視下手術セット図6初期の足関節鏡視下手術ポンプはなく助手が注射器で灌流液に圧力をかけている.図7引用・参考文献1)WatanabeM.etal.AtlasofArthroscopy.Tokyo,Igakushoin,1957.

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